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一年目のプリンセス~後編~

酒席で飲みすぎてしまったプリンセス。バスルームでアランを押し倒して…?


こちらのお話のつづきです。



「言ってみろ、聞いてやるから。」

アランは湯気が立ちのぼる白い胸元から目をそらし、湧いてくる衝動をぐっとこらえてマリアの顔をのぞきこむ。

(こんなことしておいて理由を話さないとか、あり得ないからな…)




俯いてだまっていたマリアが顔を上げ、ようやく口を開いた。

「エドワード叔父さまから、アランが子供の頃のお話をたくさんうかがったの。」

確かに、俺は昔からエド叔父上とはウマが合い、会えた時には、なんでも話したっけ。

(もしかしたら、父にするよりも多くのことを打ち明けていたかもな)

「でね、アランは小さい頃から女の子に優しくて、すごく人気があって、みんなアランに憧れていたって。」

「そんな話、俺は今初めて聞いたぞ。」

子供の頃から志していた、騎士道の「弱者を保護すべし」という奉仕精神のもと、女性に優しくすることは心掛けていたかもしれないが、女と一緒に遊ぶのを楽しいと思ったことはないし、「優しい」のはあくまで「騎士の役割」としてだ。

「アランに初めてできたガールフレンドのことも、聞いた。すごく大切にしていて、一生懸命、騎士らしくエスコートしてたって…」

(そんなこと、よくあのエド叔父が覚えてたな…)

「子供の頃の話だろ。…っていうか、誰にでもあるだろ、そんくらいの話。」

で、そんな昔話とも言えないほどの、オチも何もない話のどこが、お前が今、半裸で俺に乗っかってることとつながるんだ?

「…不安になっちゃったの。アランは城下の女の子の間でも有名で、ファンがたくさんいるって、この前聞いたばかりだし。私なんか、たまたまプリンセスに選ばれていなかったら、きっと、そのファンの一人だったんだなって…」




「そしたら、アランの隣に女の子が守られているのを見て、すごく悲しかっただろうなって…」

気づくと、マリアはアランの胸に顔をうずめ、小刻みに身体を震わせていた。

「お前、一年たって、まだそんなこと言ってんのか?」

他のやつには絶対にできないような、死ぬほど恥ずかしいことでもお前にはしてやってるだろ?

いつもどんだけお前のことを考えているのか、大切に思ってるか…伝えてるつもりなのに、それじゃ充分じゃないのか…?




俺の方こそ、お前が俺以外の男に守られてたり、大切に扱われてるのを見て、しょっ中、やるせなくなったり、無力さを感じて落ち込んでるなんて、お前には、思いつきもしないんだろうな。

 「アランはマリアちゃんに冷たいよねー」

 「アラン様はプリンセスに対して言葉が足りないから…」

ふと、いつもレオやユーリに言われていることを思い出す。

からかわれてるだけだと思って、うるせぇなって思ってたけど。

一年たっても、こいつがこんなに不安がってるってことは、やっぱり俺が悪いのか?

…というか、冷たくなんてした覚えはねーぞ。言葉にだって、精一杯してるはずなのに。

(なのに、なんで…)



「………うっ!?」



どうすればマリアの不安を解消できるのか、考えを巡らせながら、自分のこれまでの行動を反芻していたアランの唇が、唐突に塞がれた。





「~~~~~~~~~~!?!」





突然のことに、なすがままのアランの唇を割り、慣れない仕草でマリアがおずおずと舌を入れてきた。

アランの舌を探りあてると、今度は小さく吸ってきた。

(こんなキス、いつの間に覚えたんだよ…)

その心地好い刺激と感覚に、アランの意識が集中していく。

(…俺が教えたのか)

先ほどまでの考えごとなど、ふっとんでしまったアランが、今度はマリアの舌を絡めとり、激しく吸い返した。




アランの上で可愛らしく身をよじらせ、キスに応えるマリアの様子にたまらなくなり、どんどん熱くなっていく自分の体温に、アランは、バスルームの湯気が、まるで自分が発しているもののように感じられた。

(俺がどれだけお前に夢中なのか、教えてやるよ)

明日の公務なんか、どうとでもなるだろ。

「…お前が誘ったんだからな。」

マリアを覆うタオルに手をかけようとしたが、このままでは、マリアが冷えてしまうので、その身体をベッドへと運ぼうとアランが身を起こした。

「………おい?」

先ほどまで、一生懸命キスに応えていたはずのマリアが、アランの上でじっと動かない。

「まさか……」

アランが慌てて顔をのぞきこむと、マリアは、わずかに口を開け、気持ち良さそうに寝息をたてていた。

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」

先ほどまでの挙動不審かつ情熱的な行為が信じられないほどの、安心しきった顔でスヤスヤと眠るマリアの顔を見ると、脱力し、怒る気力さえ湧いてこないアランだった。

本当に、どっちが振り回されてんだか…。




マリアを抱いて寝室に運び、できるだけ見ないように手早く夜着に着せかえ、そっとベッドに寝かせると、アランはその寝顔が見える場所に添い寝した。




「…ったく、『不安なの』とか、どの口が言ってんだか…」




仕方ねぇから、今夜はお前だけの騎士として守っててやるよ。

(そのかわり、明日は、お前の『不安』とやらが解消されるまで、俺がお前のことどう思ってるか、徹底的に分からせてやるからな)

プリンセスの安らかな寝顔に、アランは目を細めて微笑み、その額に口づけた。


End

※アランの発令により、以降、プリンセスの飲酒は完全に禁止となりました。

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